被災地支援について考えたこと

※この記事は gragre.com に2011年6月8日に掲載した記事の転載です。

震災直後から今日まで、いろんな事を考えながら悩んでいます。きっと、それは僕だけではなくてこの記事をお読み頂いている多くの方がそれぞれに悩み考えていると思います。思いがけずきっかけを頂いたことも幸運でしたが、石巻での僕はたまたま友人が現地で所属している団体と一緒に活動させていただいたことで非常に恵まれた環境がありました。すべてのボランティア活動が今回の僕のように恵まれた環境ではないことを前提に、僕の書くこの記事が誰かの鍵を開くきっかけになれたらと思いながら一般論ではなく僕自身の考えていることを書いてみようと思います。内容は僕自身の考えと意見です。この記事を正解として読まず、それぞれが考えて頂ければ嬉しいです。
» 石巻での2泊4日の活動記録

※とても長くなってしまいました; お時間のあるときにでも最後まで読んで頂ければ嬉しいです。


■ボランティアに行く前に

僕は先日まで、きっかけを掴むことが出来ずにいました。被災地から帰ってきて、行く前の自分を省みて、自分にかけるべきだと思った言葉は「いろいろ悩んで答えが見つからないならまずは腰を上げてみろ」ということでしょうか。いくら悩んでみたところで、いくら考えを巡らせてみたところで、やはり百聞は一見にしかず。実際に自分が行動できる人間は重い腰を上げてみることも大事でしょう。

では、実際ボランティアに行こうと決めて、まず迷うのは何処へ行くのかだと思います。これは、贔屓があってもいいと思う。自分が行ってみたかった場所、憧れの誰かの出身地、好きな食べ物の産地、活動地を選ぶ基準なんて何でもいいんですよ。大事なのは被災地への支援活動に従事するという目的であって、その場所はそれほど悩む必要が無いと思うんです。実際現地へ入ればもっともっと大きくて難しい問題で悩まなければいけなくなるんですから。

ただし、そうしたくても出来ない人も多くいます。後述しますが、そういう方は是非、後方支援の在り方について考えてみて欲しい。


■ボランティアに行く際に

ボランティア活動をする場所を決めたら、次はどうやって行くか。何をしにいくか。

どうやって行くか、これは自分で調べるしかありません。でも、個人がいきなり一人でどこかの被災地に突っ込んでいって自分の好きな作業をできるなんてことはまず無い。どうやってどこへ行ったらいいかわからないという人はまずボランティアツアーなどに参加してみるのがいいんじゃないかと思う。そのツアーの中でまた多くの情報を見聞きするだろうし、最初は友人なんかと一緒に参加すれば心細さも払拭できるはず。但し、友人知人と一緒に参加する際に“自分の面倒は自分で見る。一緒に行く仲間を助ける”ということを忘れないで欲しい。誰かが一緒だからと頼ることは絶対にしない。お互いがお互いをサポートできるように常に気を配ることが大事だと思います。

何をしにいくか。これは、ツアーでボランティアとして働く際に自分で好きな作業を選ぶといったことはまず出来ません。自分のスキルを活かして何かをしたいという人はもう一歩進んで自分ですべての段取りを考えられるくらいのボランティア経験を得ておくか、何があっても自分でクリアしていけるバイタリティと発想が必要かもしれません。ということで、初めての人は大概がツアーという前提で、割り当てられた作業を滞り無くこなすこと、無理をして怪我や病気にならないことが大事だと思います。

もう一つ大事なのがボランティア保険への加入。もちろん被災地に入ってからも保険への加入は可能ですが、保険が適用されるのは申請が受理された後。つまり、今日申請して今日中に受理されたとしても、受理されるまでの間の事故や怪我に保険は適用されません。そしてもっとも大事なのは、現地で加入するボランティア保険料は自治体が負担するということ。僕らは被災地の支援に行くのですから、現地の負担は出来る限り少なくしなきゃいけない。自分の居住地にある社会福祉協議会(わからなければ市役所などに問い合せましょう)でボランティア保険に加入できます。保険料は600円で、本年度いっぱい有効です。


■ボランティア活動中に

現地に入ってボランティア活動をする際にもっとも重要なのは「自分が何のためにそこにいるのか」を忘れないこと。被災地を支援し、被災者の皆さんの為に従事するのだということを忘れない。例えば宿舎でお酒を呑んだり、仲間たちと作業現場で記念に集合写真を撮ったり、現地の皆さんから頼まれもしないのに寄せ書きや千羽鶴を置いていったりという自己満足な行動は絶対にしない。それと、当然過ぎて書きたくないけれど実際にあったことなので…作業現場では自分が触ったものから出たゴミを必ず自分の責任で片付ける!可能なら持ち帰る。
(※活動や現状の記録のための写真撮影は報告にも不可欠なので別)

特に寄せ書きなどは気をつけたいです。こちらは善意と思っても、受け取る側の気持ちになってみましょう…ツアーで来た名前も知らない人たちが一生懸命働いた一日の終わりに書いた寄せ書き。僕は敢えてこういうモノを善意の生む呪いと呼びます。これは受け取る側に感謝を強要しているのと変わらないんじゃないでしょうか。見返りを要求する善意など被災地支援になるわけがない。ボランティア活動では、良いことも悪いことも自分というエゴの痕跡は現地に残さず帰ってくることが粋だと僕は考えています。もちろん、長期ボランティア活動の中で地元の皆さんとの信頼関係のもと、こういったものを頼まれた場合は話が別です。

そしてもう一つ。食事です。ボランティアは基本的に炊き出しを受けないというのが僕自身の考えですが、炊き出しで食事を頂く機会もあると思います。そんな場合、大抵の炊き出し場所にはカンパ募金箱があったりするので、カンパとしてお金を置いていきましょう。カンパ募金箱がなければ炊き出しのリーダーに相談して必ずカンパを渡しましょう。被災地なんです、普通に考えれば物の値段は何倍にもなっていて当たり前。そこで外から来た人間がタダで食事をいただくなんて絶対にあってはいけないことだと僕は考えます。普通に考えた食事代金の数倍置いて行くなんてことが出来ればそれは粋なこと。惚れます。でも、そういうことは他の人に分からないようにすると更にカッコいいです。


■ボランティアから戻ってきたら

やっちゃダメなことに挙げた、お酒を呑んだり、集合写真を撮ったり、寄せ書きなどを書くことも、ボランティア活動を終えて、被災地の外へ戻ってから仲間たちとすることはとてもいいことだと思います。もちろん、その写真とか寄せ書きを被災地に送ったりするのは問題外だけれど…。

そして、被災地の現状や自分が現地での活動で考えたこと、感じたこと、誰かに伝えたいこと、そういうことをまとめてブログなどに書いたり、報告会などを開いたり、寄付を募るために飲み会やパーティをするのもいいかもしれません。その時には、被災地に行けずに悩んでいた自分の気持も忘れずに、行けずにいる人の気持を傷つけないように配慮出来れば素晴らしいと思います。

僕は、無関心が被災地支援や復興に際して一番の障害だと考えています。
意見を戦わせたりすることは全然いいんです。興味が有るんですから。無関心は恐ろしい。何事も無関心が最大の障害なんです。
想像してください。どこかの街なかで誰かが倒れたところを、その人がまるで見えないかのように気にもとめず足早に歩き去る人々の姿を。それが無関心のもっとも分かりやすい姿です。
ひとりひとりが他人事と思わず、自分の頭で考えましょう。今回の震災で被災しなかった人は運が良かっただけ。被災した人たちに非があったわけじゃないんです。そしてもうひとつ、これは“東日本大震災”という一つの災害と考えたくない。被災した方々ひとりひとりにそれぞれ違う事情や悲しみや苦しみがあって、それらはそれぞれが姿の違うものなんだと思います。被災地で出会うひとりひとりの人達に接するとき、このことを思い出してみてください。


■ボランティア活動がしたくても被災地に行けない皆さんへ

実際に自分自身が被災地にいけなくてもできることがあります。
支援物資を届けること、直接/間接的に金銭を寄付すること、現地でボランティア活動や復興事業を行う人や団体を支援すること、情報の精査や取りまとめでこれから何かをする人たちのために後方支援することなど、いくらでも出来ることがあります。このなかで、物資の支援について少し、僕の意見を書こうと思います。

支援物資は非常に重要です。今、支援物資が途切れれば餓死してしまう人が必ず出ます。だから必要なんです。そして、僕らが被災地に何かを送るとき、考えたいことがあります。それは、今送ろうとしている“それ”が被災者の方の手に届くまでのことを詳細に想像することです。例えば食料を送るとき、集積所で、仕分けで、炊き出しで、多くの人の手を経て届きます。被災地では長期ボランティア活動をする人間が足りません。できるだけ誰かの手を煩わせずに送る方法はないでしょうか。食料だけでなく、人を集めて、自分たちのチームで直接炊き出しにいけないでしょうか?衣類を送りたいなら避難所を廻ってボランティア活動をするチームで現地に行って、直接ニーズを聞きながら配布できないでしょうか?もしもそれが難しいなら、今は徐々に被災地でも物が買える場所が出てきています。特別な物資以外は金銭として送れば地域の経済の助けにもなるし、お金はいろいろなものに変えることができるんです。但し、お金は滞り無く支援先に届くことを考えて寄付先を選びたいです。


【最後に】
僕個人の見解は以上ですが、個人の視点を介さないフラットな情報も非常に大切です。下記のウェブサイトでは東日本大震災の被災地に対する支援に役立つ情報が多く掲載されています。今回このウェブサイトを紹介するのは、僕が見て分かりやすく、包括的に被災地支援に関する情報を掲載していると判断したからで、検索能力の高い方はご自身でさらに多くの情報を照らし合わせてみることをおすすめします。
» JCN 東日本大震災支援全国ネットワーク

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