運命をつなぐ赤い糸の指輪の完成

20130730-6赤い糸のピンキーリング』というプロダクトの、作品としての完成をもって受注生産を終了しました。

運命の二人を小指と小指で結んでいるといわれる赤い糸。その運命を手繰り寄せるように透明の樹脂で抱き込んだのがこのピンキーリングです。赤い糸は絹糸を、樹脂にはポリエステルを使用しています。

20130730-7運命”や“二人をつなぐ”というキーワードでの作品制作は、この赤い糸のピンキーリングよりも前に制作した『kanon』という名前の手をつなぐ二人のためのピンキーリングが元になっています。

これは2つの指輪にそれぞれ凹みがあって、手をつなぐとそれが咬み合うことでぴったりとつながったり、擦れるときの感触でお互いの存在を意識したり、凹み同士が合うように繋ぐ手の指の位置に意識が向くことでお互いの関係を再認識できるというようなコミュニケーションのコンセプトで作られました。写真の物の他にいくつかのバージョンがあるので、それらは後日ポートフォリオサイトの方に掲載しようと思います。

さて、『赤い糸のピンキーリング』の制作工程を紹介しましょう。

制作過程で最も大事にしているのは“効率化を図らないこと”。最初に適当な容器に樹脂の層を作り、硬化後に重ねて流し込んだ樹脂の層に糸の輪を形を整えながら複数配置します。ここでは流動性のある樹脂の中で不安定な糸が自然に作り出す表情がとても大事。これが硬化したら指輪のサイズに合うものを探しだして穴を穿ちます。糸の輪は完成サイズよりも3~4サイズ大きく結びますが、ここでサイズに満たず作りなおすことが多いです。

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ぴったりサイズの穴を開けることができて、糸の流れ方が美しいものがみつかればそれを切り出して、今度はヤスリやリューターを使って指輪の形に削り出します。形が決まったものは表面を整えて研磨。こうして作っていくわけです。

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効率よく作るのなら、シリコンでサイズごとの型を作っておいてそこに樹脂を流しこんで糸の輪を入れてやれば済むことですが、そんなふうにお手軽に作られたものに“運命”など感じることはできません。だから、偶然に左右されて失敗も無駄も多い工程を経て一つの形と出会えるこのやりかたにこそ意味があって、こういうプロセスで作られたものが誰かのもとに届いて指にはまることで芸術作品としての完成を見るというわけ。

今回2組の指輪を制作したのですが、実はウェブストアではこのプロダクトの受注は見合わせていました。それでもいつか受注再開したら是非作って欲しいというご要望を2組のお客様から連続していただき、しばらくの間この作品の完成形について悩んでいた靄が晴れたような気がしました。強く求められ、その2組のお気持ちに応えることが出来ればこのプロダクトの作品としての完成を迎えることができる。そう考えて制作を決めました。そして、作品として完成した『赤い糸のピンキーリング』は受注生産を完全に終了…いえ、完了と言うほうがふさわしいですね。今後また新たに“運命”や“ふたり”をモチーフにした作品を作る機会もあると思います。よい作品を完成することができてとても満足です。