作品制作の相場とか適正価格って?いくらで頼む?

作品制作の依頼などを受ける際に「相場がわからない」と予算を申し訳なさそうにご提示頂くことが多いんだけど、誰かに何かを制作してもらう際にどのくらいの予算を組めばいいのかわからないという人は多いんじゃないでしょうか。

たとえば絵画の場合、大きさによって価格を決めやすいんだけど、その価格っていうのはやっぱり相場観が基準になっていて、それより極端に安いものは価値が低いとみられるし、極端に高いものは特別な理由がない限り相応でないということになる。その辺は受ける側の価格付けってことで今回は掘り下げないけど、作品の価値に対して時間がかかりすぎるものなんかは販売作品には向いてないというか、商業としての絵画制作ではやるべきじゃないかもしれない。作る側の人間も常にそれの価格を意識しながらモノづくりをするといいかもしれない。

では依頼する側の場合はどう考えたらいいんだろう?
僕が考えてみたところ3つの要素を合わせて予算を組む参考にしたらいいんじゃないかと思ったので、その3つの要素について書いてみます。

  1. 必要な制作期間

    まず、相場観というのは多分“自分の仕事とは畑が違うから”という理由で判断しにくいんだと思います。これ、たとえばアートや音楽なら特殊な職種に思えるかもしれないけど、頂いた報酬で生活するという面では他のどんな職種とも変わりません。つまり、この部分は貴方が自分の仕事で1日いくらの賃金なら納得できるかを基準に考えたらいいんじゃないかと思う。派遣をお願いした場合の1日の費用(派遣社員の受け取る報酬ではなく派遣会社に支払う金額ベース)も参考になるかもしれない。

    作家とのやりとりの中でおおよその制作日数がわかれば基本的な“作業費”が割り出せますね。

  2. 経費

    打ち合わせにかかる交通費などの出費は意外と負担になるものです。この部分も予算に組み込むことができれば作家とのいい関係も築きやすいし、打ち合わせも実りのあるものになりそうですね。

    そして当然材料費や機材費。制作するものによっては新たに工具などの機材を購入する必要もあったりするので、その減価償却分も多少考慮してもらえたりすると最高ですねー。

  3. 付加価値

    上記2項目は基本的な作業にかかる費用として、重要なのはこの付加価値の部分ですね。

    依頼物にどのくらいのクオリティを求めるのか、どんな価値を持たせたいのか、そういった部分が作家性であったり技術を必要とする部分だと思います。どういう付加価値を持たせたいのかを金額として考えておくことで、打ち合わせ時にもクオリティコントロールについて両者の合意を得やすいし、後々修正や手直しが必要になった際のトラブルも防ぎやすいです。
    付加価値を説明できることは作家に適度な緊張感と責任感を与え、何より自分の制作物の価値が評価されているという大きなモチベーションとなります。

    付加価値はなくてもいいやと思った方もいるかもしれないんだけど、そんなことないと思う。だって、自分(の会社)では出来ないから依頼するわけで、それは技術や作家性に価値を見出しているからにほかならない筈です。そして技術や作家性というものは時間やお金を始めとする多くをつぎ込んで、人知れず努力を積み重ねてきたからこそ得られるものです。だからこそ魅力や価値が感じられるんだと思いませんか?

必要な制作期間+経費+付加価値=予算

あれ?これって一般的な仕事の受発注と変わらないじゃない?
そうです、同じなんですよ。付加価値の項目で少し触れましたが、どんな業種であれ、自分にできないことそれ自体が価値なんです。そこの部分をしっかり算出できればもう次から「相場がわからないので」と恐縮せずに済むはず。


熟考したわけじゃないので穴や過不足があるかも知れないんだけど、概ねこんな感じに考えたら双方が納得できる金額を算出しやすいかなと思いました。

余談になるんだけど、発注側からは「できるだけ安くいいものをつくってもらいたい」という声を度々聞くんだけど、それは受注側も適正な価格で制作物を納める事ができれば一番いいと思ってます。でも“できるだけ安く”が常軌を逸している場合には、受けることで生活が成り立たなくなるリスクを取ってまで受ける意味のある依頼って多くはないというのも事実。それでも実績を積みたかったり経験が欲しかったりして色んな物を犠牲にすることがわかっていても受けてしまうこともまた多いんですよね。そういうことは自分でももうやりたくないし、見聞きするのもしんどいです。どっちも得するようにお金をうまくコントロールするには、イメージで金額を出さず、きちんと計算すること、発注側も受注側も、楽しく仕事しましょう!