hiderinoの新しいストアはなぜ “ブローチ屋” なのか

ウェブストアをリニューアルする際、販売するものを今までの各種雑貨からブローチをメインにした1点もの作品に変更しました。 なぜブローチ?ということについて説明していなかったのでそのことについて書いてみようと思う。

まず、僕が最初に始めたウェブストアはflowerman(検索すると同名のショップがヒットしますが、無関係です)というブランド名で、2002年にデザインTシャツと雑貨のショップを始めたんだけど、ある時同名のショップが有ることを知り、事業所を移転したタイミングでブランド名をgrass green closetと変更。 同じくデザインTシャツと服飾雑貨を販売していました。 このブランド名義での活動は2012年に終了、以後はhiderino名義での活動になりました。 それまでは作品制作資金を得るための商売としてTシャツや雑貨などを制作販売していたんだけど、商売をやっているとどうしてもそれにかける時間ばかりが増えてしまって肝心の作品制作がままならなくなったことと、作品と商品という住み分けをすることって必要なのかなと疑問に思い始めていたから。

少し前置きが長くなってしまったのでここで一旦話題を変えて、ブローチとはどんなものかを調べてみよう。 Wikipediaによると

※以下Wikipediaから抜粋

  • 衣服に装着するようにつくされた、宝飾装身具である。
  • 単に装飾のために用いられることもあれば、外套などを留める留め具の機能のために用いられることもある。
  • 最も初期のブローチは、青銅器時代にすでに存在したことがわかっている。その流行の移り変わりがかなり激しかったので、ブローチは年代を知る重要な指標となり得る。
  • フィビュラ(ブローチ以前の古代の装身具)は大きな安全ピンのような形をしており、衣類を留めてずりおちないようにするために使われた。様々な種類があり、民族衣装がローマ風に統一されるまでは、着用する者の民族性や身分など、そのアイデンティティを示す非常に重要なアイテムであった。


と、こんな説明。 つまり宝飾装身具なんだけど、フィビュラの説明を読むと「アイデンティティを示す非常に重要なアイテム」という表現があって、バッジ(記章)としての機能も持っていたのかな。 ブローチとバッジ(ピンバッジ含む)の違いは基本的には宝飾装身具と記章という分け方なんだけど、現代においては一般にバッジといえば弁護士のつけている金バッジなどの記章としての機能を持つものを思い浮かべる一方で缶バッジを思い浮かべることも多く、まぁ僕がブローチ屋として扱うものの中には缶バッジやピンバッジも含めていいかなと思ってる。

さて、本題に戻る。2002年からTシャツのデザインをしていて僕がそこに見出すようになった意味は【Tシャツは気分を覆う皮膚】だということ。 下着を除いて肌に一番近い衣類で素肌に着ることも多いTシャツは、身体の線も出やすいし、色や柄でその人の個性をより強く印象付ける。 その日その時の気分を覆うもう一枚の皮膚のようなものだと考えていました。 つまり、気分によって纏う皮膚を変えることで少し変身するようなイメージ。

そんなTシャツをデザインしていた頃から今のブローチに変わる間にはTシャツ以外の雑貨類を思いついては作って販売するという時期がありました。 スマートフォンケースやスキンシール、ハンドメイドの小物やハンドパペット、樹脂や木を彫刻して作った装身具などなど。 自分が習得してきた技術や思いついたアイディアをとりとめなく形にしていくことはそれなりに楽しかったんだけど、大きなテーマやビジョンが無かったのでお客さんには散漫な印象になっただろうと思います。 今振り返ってみれば完全なる迷走。 こうなるとお客さんも離れていくし、売上が落ちれば自分自身の創作意欲もどんどん減衰していく。 あぁ、これは失敗したなと気付いてもなかなか全部ひっくり返してしまうことができず、小手先の改善を図ろうといろいろ考えてみるんだけどやっぱりうまくいくわけない。 それで一旦全部を止めて、今までに作ったものも全部頭から無くして空っぽの状態で1からやるとしたら僕の手から何を生み出すことができるんだろうと突き詰めてみることにしたのです。

そうして僕が見出したビジョンは【ブローチは非日常への扉を開く鍵】になるということ。 ブローチ単体じゃなく、ブローチを主役にして物語や世界観が一緒になった“作品”として考えることで、その非日常の世界や物語と自分をリンクさせて日常を変えることができるんじゃないか。 そんなふうに考えたのです。 ブローチに物語や世界観が込められていることで、身につけたらその日の服装がちょっと日常からはみ出るような、そんなイメージ。

ブローチが非日常への扉を開くと気がついた時から僕の目の前の世界は変わりました。 まず一旦頭から追い出した過去に制作したモノたちの中にストーリーを語りだすモノが出てきたんです。 一番最初に語りかけてきたのが先日発売したゲツメン LUNAR SURFACEの素材となった月の指輪。 過去に作ったモノたちにも既に物語や想いが込められてたんです。 一つ一つ時間と手間をかけてモノを生み出すんだから、当然そこには何らかの思いや世界観が存在していたのに、全体を紡ぐためのテーマやビジョンが用意されていなかったために物語は語られること無く埋もれていたわけ。

こうして【非日常への扉を開く鍵】を手にした僕は、これからいくつもの物語や世界観をブローチ作品という形で皆さんに届けることになります。 そもそも人は誰しもが自分の人生における主人公なんだけど、意識が日常に埋もれてしまうとその自覚を失ってしまうことがある。 非日常の世界との接点を身につけることで日常がもっとワクワクするものに変わったら楽しい! そんな形で誰かのイマジネーションを刺激する鍵になったらいいなぁ。
とても長くなってしまったのに最後まで読んでいただきありがとうございます!!

hiderinoのブローチ作品は完成した順にウェブストアに追加されていきます。 ビビッと来るものに出会ったら是非お手元に置いてやってください!
>> store.hiderino.jp